2010年

【2010アニメ】「それでも町は廻っている」アニメレビュー





(30点)全12話

ここは下町・丸子商店街。この一見フツーの通りに存在するメイド喫茶「シーサイド」。そこで働く女子高生探偵に憧れる天然少女・嵐山歩鳥と、そつなさで人生をこなす辰野俊子に、メイド服が何気に似合うバアサン・磯端ウキが繰り広げる、メイド喫茶じゃない、メイド喫茶コメディー。TVアニメ「それでも町は廻っている」公式サイト




女子高生たちによるメイド喫茶コメディー

ストーリー
作画
面白い
総合評価 (30点)
完走難易度 超難しい

原作は石黒正数先生。

総監督は新房昭之さん。

制作はシャフト。

メイド喫茶

©石黒正数・少年画報社/それ町製作委員会

メイド喫茶で働く女子高生たちの日常を描いたギャグアニメ。

1話は新しく主人公のクラスメイトがメイドとして働くことになり、さらにバイト禁止なのにバイトをしていることがバレて先生に尾行され、喫茶店でバイトについて説教を受けるというお話。

1話を観てすぐに、なんならキービジュを見た時点で、新房監督の作品だとなんとなく察することができる。

シャフトらしい絵のタッチといいギャグのテイストといい、既視感を感じざるを得ない作品になっている。

ギャグアニメは人を選ぶ。ギャグの感性は人それぞれで、それによって評価が分かれる典型的なジャンルだが、1話を観た限りではあまり自分には合いそうにない。

ドジっ子を演じる主人公メイド。メイドとしての何たるかを仕込む友達と、それを傍から見るもう1人の友達と店長のおばさん。

この作品独特のありふれた日常感は確かに共感心をくすぐるが、シチュエーションも会話の中身も特に面白くない。

先生に見つかってメイド喫茶まで撒こうとするも、尾行されてついに喫茶店が見つかってしまう。そこでバイトの現場を押さえられた2人は、何とかバイトの口実を作ろうと必死に策を練る。

それがドジっ子を演出して先生に取り入るというもの。

「コーヒーと間違えてコーラを持っていく」というドジっ子を主人公は演じるも、あっさりと演技だと見破られ、「なんでそんな不条理なことをするんだ」と真面目な説教を受ける。

笑いの要素は1つもない。ボケもなければツッコミもない。型からはみ出た非常識さもない。キャラクター性にも乏しい。

やり取り

©石黒正数・少年画報社/それ町製作委員会

キャラクター同士のやり取りで魅せるタイプのギャグアニメだ。

軽快で小粋な言葉選びだったり、やり取りの中で不意にカメラの画角が狭くなって顔がドアップになったり。演出を含めてキャラクター同士の会話が肝になって、面白さを演出しようとしている。

それを「巧い」と思えれば面白いのだろうが、いかんせんそこに笑いはない。

確かに少しひねった言葉に対して、もっと捻り返すような味はあるが、いわばそれは落語的面白さでアニメとしては全く刺さらない。

日常風景の中で起きる日常的な事件ややり取りの数々。

他作品と比較してしまうことを申し訳なく思うが、例えばファミレスでアルバイトをする某WORKING系アニメでは、狭いコミュニティながらもしっかりとした「笑い」と、それに付随する要素がしっかりとある。

主人公のツッコミだったり、ヒロインのちっこいいじりだったり、暴力性だったり、腹グロな先輩だったり、刀を携帯しているチーフだったり。

キャラクターも十人十色で、そこから生まれるストーリーがさらに広がりを生み、それが3期まで制作されるという大人気に繋がっている。

そこにどんなキャラクターがいて、どんな行動が笑いに繋がって、どんなストーリーが生まれていくのか。

上から目線のようで申し訳ないが、多くのギャグアニメを観てきた経験から言わせてもらうと、この作品には笑いも萌えも何もない。

もしかしたらそれこそが、この作品が狙っていることなのかもしれない。

他の多くのギャグアニメのように、キャラクターの強烈な個性で引っ張るのではなく、キャラクターの掛け合いだったり、日常の風景をありのままに、シャフトらしい演出で肉付けして独特の世界観を作る。

それは原作者のこだわりなのか、新房監督を筆頭とする制作陣のこだわりなのか。

どちらか分からないが、好き嫌いがよりはっきりと分かれる作品と言えるかもしれない。

総評:特に

©石黒正数・少年画報社/それ町製作委員会

これほどレビューが短いと手抜きだと思われるかもしれないが、特に何もないので正直にそう記したいと思う。

レビューというのはいわば「衝動的」なところがあり、感情を揺さぶられることでそれに釣られて筆が勝手に動く作品こそが、自分の中では良作と呼ばれる作品だ。

「自分語り乙」と思われるかもしれないが、たまには自分のブログなので自分語りすることを許して欲しい。(笑)

この作品には観終わった後に「これを書きたい!」と感情に訴えかけるようなシーンが一切ない。

メイドの女子高生がいる。店の宣伝をする。客が来る。新しいメンバーとつるむようになる。コインランドリーでうどんを食う。どれも単発で繋がりがない。

女の子3人の良くある日常風景。よくある町のよくいる人とよくある風景。他愛ない会話を着地点などを決めずに細長ーく広げていく。

場面転換では、良く分からない狸がどうでもいいうんちくや小ネタを挟んできて、正直イラっとくる。

笑いもしない。可愛くもない。メイドならではの萌えもない。キャラクターも薄い。感動もしない。総じて面白くない。

ここまで酷評する理由をあげつらうというのは本懐ではないが、こうでもしないと、このレビューが白紙になってしまうほど、本当に味気ない作品だった。

ただ終盤に至るに連れて、ストーリーのようなものは見える。主人公の友達が男の子をデートに誘おうとしたり、喫茶店の店長と死んだ夫の幽霊のやり取りだったり。

だが付け焼刃にしかなっていない。日常らしい前半の面白さと後半の非日常はつり合いが取れていない。

そのうえ、「町」という単位で描いているので、度々見知らぬキャラがメインになったりして、そこまで深く思い入れることもできない。

こればっかりは繰り返すようだが、好き嫌いで評価が分かれるものなので、この作品が好きで気分を害された方がいるようだったら、それは申し訳ない。

雑感:面白さとは?

©石黒正数・少年画報社/それ町製作委員会

日常系コメディアニメで「自分に合わない」と1話で感じた作品を、12話通して観なければいけないほどツライことはない。

「じゃあ観なければいいじゃん」というお言葉はもっともなのだが、健康のためには嫌いな野菜も食べなければいけない。(笑)

このような自分に合わない日常系アニメを観る度に考えさせられる「面白さとは?」というそれを定義することは多分できない。

どこを面白く感じるかなんてのは千差万別で、ぶっ飛んだ世界観が好きな人もいれば、この作品のように小粋なやり取りや日常感に面白さを見出す人もいる。

だから全員が面白いと感じるアニメを作ることはできない。だが一般的に「面白い」と言われている作品にある共通点を探し、それを作品に取り入れ、より大衆ウケする作品を作ることはできる。

あくまで個人的にだが、それは「キャラクター性」であり、「ボケ&ツッコミ」であり、「ストーリー」であり、「非日常」だ。

続編が制作されるようなギャグアニメは決まってアクの強いキャラクターがいて、ツッコミ役がいて、先が気になるような変化が起き、現実とは違うアニメならではの非日常がある。

そういった共通点を作品に組み込めば、少なくとも大コケすることはない。多分。(笑)

後は「センス」という説明しがたい感性が必要になってくるとは思うが、面白い要素をかき集めることはできるはずだ。

もちろんそれは原作者も制作陣も分かっている。面白いアニメの共通点など分かっているはずだ。

だがそれを組み込まないところに謎やロマンがある。当然面白い要素を組み合わせてアニメを作れば売れるだろう。多くの場合は売れるはずだ。

アニメを作るからには売れる作品を作るのは当たり前。だからこの「それでも町は廻っている」という作品も売らなきゃいけない。

だが売ろうとしている作品には見えない。面白いと世間で言われている大人気ギャグ作品にある共通点を、この作品はあえて素通りしているように見える。

円盤の売り上げは2000枚ほど。悪くない数字だが、10年前の円盤ビジネスがまだ好調だった時代背景を鑑みても、決して良くはない。

刺さる人には刺さった。それで良し。そう割り切れるほど数字は軽視できないはずだ。

その2000枚をどう捉えるのか。ポリシーに殉じた名誉の負傷なのか、それとも、ポリシーを過信しての失敗なのか。

一体どんな工程でこのようなアニメが完成するのか。どのような心境でこのアニメを作っているのか。売れ行きに対して制作陣がどういう評価をしているのか。

本当にこのアニメを心の底から面白いと思って作っているのか。実際に話を聞いてみるのが一番だが、一介のアニメファンにそんな機会は一生訪れないだろう。だからロマンだ。

ぜひ皆さんも、そんなアニメ制作のロマンを感じながら、このアニメを観て欲しい。




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